付加価値経営と労働生産性
1.変わりゆく市場
日産自動車が国内でリストラに着手。国内工場の閉鎖もやむを得ない。シャープが堺工場を切り売り。2008年3月期(過去最高の売上げ)から16年経過し2024年3月期では売上げが33%減少し、赤字に転落。
この数年のビジネス環境の変化は激しい。日産自動車の2024年のグローバル市場の売上げは2023年と変わらない。しかし、営業利益は70%以上減少すると予測されている。
シャープの売上げの今期予想は昨年より9-10%減、赤字から若干の黒字に転換はしそうだが、厳しさは続いている。両社に共通しているのは、変化への対応が遅く、イノベーションが中途半端に思える。
2.付加価値経営
ビジネス環境をいち早く認識し、企業の経営資源を素早く再構築・再編成する。売上げや利益の減少は付加価値の減少とも言える。量でなく質を追い求め、高利益を確保する。付加価値経営の推進だ。
企業の付加価値を高めるには、短期の利益を追求するのではなく、持続可能な成長を実現する必要がある。競争力を高め社会的価値を向上させて行く。イノベーションを推進し製品やサービスの品質を向上させる。
新しい技術を導入し新たな市場を開拓する。常に革新を追求することで、他社との差別化を図り、そして付加価値を生み出す。顧客価値を創造し顧客のニーズを理解し、それに応える製品やサービスを提供する。
3.労働生産性を上げる
付加価値を上げるには労働生産性を上げる。付加価値労働生産性は、企業の付加価値額≒粗利≒売上総利益(売上高-仕入れまたは原材料費などの外部費用)÷労働量(人数×労働時間)で算出される。
粗利を労働者一人あたりの労働時間で割ると付加価値労働生産性になる。付加価値労働生産性を上げるには、粗利を増やす(売り上げを増やす、もしくは外部費用を減らす)。
または労働量を減らす。より少ない人員で売上げを確保する。営業利益一人4千万円を稼ぐ超優良企業の中堅企業L社は「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」ことを理念としている。
(Written by 川下行三 25/01/25)