平成から何が変わったのか
1.平成元年(1989年)の日本
2024年7月9日、4万1,580円と株価の最高値が続く。1989年12月29日、バブル経済の象徴だった東京証券取引所の株価は最高値の3万8,915円を記録した。そして35年、2024年3月に株価は4万円台を超えた。
土地はどうか。最近少し地価が上昇、2022年は1,309兆円(2021年1,279兆円より30兆円増えた)。日本の土地資産額は1989年2,296兆円、1990年2,477兆円。このバブル期より今の地価は約45%も低い。
企業の時価総額、世界ランキング10位まで1社も入っていない。1989年は10位まで7社と日本企業が席巻していた。今はトヨタでさえ35位(2024年6月末)。日本市場の株価は最高値、土地資産額は低迷。
2.平成元年(1989年)の世界
バブル景気、株価に限らず地価も大幅に上昇、企業業績も絶好調だった。1989年10月、三菱地所がアメリカのニューヨークにあるマンハッタンの高層ビル群「ロックフェラーセンター」を買収。
当時、日本人もアメリカの土地や企業を買いまくった。数年前から中国人が日本の土地を買い漁っている。
1989年4月初めて消費税が導入された(3%)。6月中国では天安門事件が勃発。11月ドイツ、ベルリンの壁が崩壊し東西ドイツが統一、東西冷戦が終結へと動いた。
3.株価上昇は何をもたらす
連合が7月3日に発表した2024年春闘の平均賃上げ率は5,10%となった。1991年(5,66%)以来33年振りの上昇だが、中小企業の賃上げ率は4%台と厳しい。賃金の上昇が、物価の上昇に追いついていない。
厚生労働省が7月8日に公表した5月の毎月勤労統計調査(速報)によると物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月から1,4%減。26カ月連続のマイナスと過去最長を更新した。
2012年11月、79円と円高が進んでいた(2009年からの民主党政権は円高を容認)。2012年12月安倍政権の発足、デフレ脱却・異次元の金融政策を受けて株価は2013年急上昇。2012年10月の8,000円台から15,000円と。
2024年6月160円台に突入、想定外に進んだ円安は輸入物価の高騰を始めインフレが加速している。景気回復の実感がない株価上昇は続く。
(Written by 川下行三 24/07/10)