中小企業の体力
1.中小企業の景況は悪化
中小企業の景況調査(17,802企業が回答)によると、中小企業の業況判断DIは3期連続して低下。2024年1-3月期の全産業の業況判断DI(前年同期比)は、マイナス18.3ポイント(前期差3.5ポイント減)と悪化。
製造業はマイナス19.9ポイント(前期差4.8ポイント減)と2期ぶりの低下。非製造業はマイナス17.8ポイント(前期差3.2ポイント減)と3期連続の低下。人手不足、人件費の上昇、燃料代、原材料費の高騰が原因。
中小企業景況調査のDI(Diffusion Index)は、「好転」と回答した企業の割合から「悪化」と回答した企業の割合を引いた数値。DI値がマイナスの場合は、悪化したと回答した企業の数が多い。
2.足を引っ張る人手不足
日本商工会議所が全国の中小企業を対象に実施した「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」(2023年度)によると、「人手が不足している」との回答が68%にのぼり、2015年の調査実施以来最大。
人材確保に向けた取組は、「賃上げの実施、募集賃金の引上げ」(72.5%)が最も多く、「ワークライフバランスの推進」(38.1%)が続く。制度融資や公的給付の縮小で息切れする企業が目立つ。
人手不足が原因の倒産件数が2023年度(23年4月-24年3月)に前年度比2.1倍の313件に達した(帝国データバンク発表)。時間外労働の上限規制が24年4月に始まり、さらなる人手不足が懸念されている。
3.倒産が増える
東京商工リサーチが4月発表した2023年度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が9,053件で2022年度から31.5%増加。増加は2年連続で、新型コロナ禍前の2019年度(8,631件)を上回った。
帝国データバンクの5月倒産報は倒産件数は1,016件(前年同月694件から46.4%増)と、25カ月連続で前年同月を上回った。2012年5月(1,013件)以来、12年ぶりに1,000件を超えた。
中小製造業N社は今期絶好調だと、生産設備への投資が回復し受注が増加。自動車や建設業向けの資材を製造するY社も順調、医療関係に納品をしているB社も業績は良好。しかし、採用は厳しい状況が続く。
(Written by 川下行三 24/06/25)