円安はいつまで続くのか
1.円安が進行
2024年6月10日時点で円の対ドル為替相場は157円。2022年3月末、対ドル相場は121円で推移していた(2022年3月10日は116円)。それから約2年3ヶ月、40円も円安に振れている。
円安がベースとなりインフレが加速している。消費者物価指数の上昇率は2024年4月、前年同月比で2.5%。昨年の3%台から比べると落ち着いてはきているが、現金の実質的価値はどんどん目減りしている。
この5月27日に公表された日銀の月例経済報告によると、2024年1-3月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は前期比で0.5%減(年率では2.0%減)となった。2四半期ぶりのマイナス成長だ。
2.ヒット商品番付、横綱はインバウンド
2024年6月、日経MJ(日経流通新聞)が発表した2024年上期ヒット商品番付で西の横綱は「円バウンド」。34年振りの円安を受け、訪日客の1-3月期一人あたりの支出はコロナ前比4割増とインバウンド消費は絶好調。
2022年12月に日経MJが発表した2022年ヒット商品番付で東の横綱に「コスパ&タイパ」が選ばれている。値上げが拡がる中、費用対効果の高い商品や時間効率を求めるサービスに支持が集まっていた。
2022年12月の消費者物価指数は対前年比4.0%上昇。Z世代を中心に「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する人が増えている。タイパを意識して作られたコンテンツとしてショート動画やまとめサイトがある。
3.2025年には円高に
帝国データバンクは円安が企業へ及ぼす影響についてアンケートを5月に実施。利益について、プラス影響が7.7%、マイナス影響が63.9%、影響なしが28.5%と、円安による利益面でのマイナス影響を受けている。
円安は大企業が中心の輸出企業の利益を押し上げるが、輸入依存度の高い中小企業や内需型産業などでは厳しさが続く。反対に円安効果として4月の訪日外国人旅行者数は300万人を超えインバウンドの効果は続いている。
円安は当面続く、金融機関やシンクタンクが予測する。米国の利下げが本格的に開始されれば、円高・ドル安方向に振れていくだろうと。インフレが落ち着き、実質賃金が増えて行くのは2025年以降になるだろう。
(Written by 川下行三 24/06/10)