転職の変化 2024
1.転職市場の動向
転職率は2016年から2019年は増加していたが、2020年は減少。コロナ後2022年の正社員転職率は7.6%と再び高い水準に。転職理由と入社の決め手は給与。転職によって年収が上がった人は39.5%と2019年以降増加。
コロナ禍で採用をストップしていた企業が、求人を再開し、人材を確保しようとしている。2023年には過去最高水準の求人数を記録し、2024年も高水準の求人が続く。
多くの業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進み、ビジネスモデルの変化や求められる人物像も変化。IT・通信業界ではクリエイティブ職でもAI技術の発展により新たなスキルが求められている。
2.賃上げの動き
企業が求人を出す背景や採用したい人物像に変化があり、賃上げの動きが続いている。転職者も働きがいを求めるよりも年収のアップを望む。2024年上半期、転職市場は引き続き活況が続く。
某中小企業の経営者、「昨年から今年にかけて中堅社員が数名辞めた。高い給与を出してくれるところへと移っていった。給与を上げたいが原資がない。納入先へ人件費上昇分を価格転嫁しづらく販売価格は据置」。
公正取引委員会は、昨年、受注企業が発注企業との取引で受け取る対価について価格転嫁を促す指針を公表。受注企業が人件費への転嫁について協議することなどを発注企業に要請した。
3.慢性的な人材不足
労働人口は高齢化しており、退職者の代替を見つけることが難しい。2022年の総就業者数6,922万人の内、3,833万人と半数(55%)が45歳以上だ。企業が適切な人材を採用することが最重要課題になってきた。
デジタル技術の進歩により、職業の要件が変化している。特に技術系職種や専門職の需要が高まっており、競争が激化。企業は人材獲得競争に対応するため、採用対象者の明確化や採用体制の構築を急いでいる。
中小企業も賃上げや労働条件の改善、職場環境の改善、従業員の多能工化、業務プロセスの改善や工夫、経営課題や業務の見直し等、様々な取り組みを行っている。
(Written by 川下行三 24/03/10)