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コラム 人と経営

同族経営

1.同族経営の強み

同族経営は株主と経営者が同一。創業者やその創業家族が経営を行う。オーナー企業やファーミリービジネスとも言う。ある調査では、上場企業の約半数が同族経営で、非上場企業の約8割は同族経営。

多くの同族経営企業を見てきた。100年企業も数多く、3代目、4代目の経営者も増えてきた。歴史のある同族企業は有形資産(不動産他)も豊富で無形資産(暖簾やブランド、技術、従業員他)も蓄積している。

別の調査では、一般企業よりも同族企業の方が収益性も安定性も上回っている。同族企業はオーナーが思い切った投資や長期的な戦略判断ができ、逆境の時もリーダーシップを発揮し苦難を乗り切れる。

2.悪しき同族経営

ビッグモーター、ジャニーズ事務所と問題を起こしている同族企業がマスコミを賑わしている。同族経営でもユニクロやサントリーなど優良企業も多いが、そうではない企業も多数存在する。

ビッグモーターは1976年、山口県岩国市で創業、社歴は47年になる。全国に販売網を持ち、売上げ5,000億円の大企業に。社長の兼重氏が一代で築き上げた。5年程前から社長の子息Kが副社長として経営を行っていた。

Kは有名大学を卒業し、MBA(経営学修士)を取得し後継経営者としての階段を歩いていたが、良き経営者とはなり得なかった。創業者から二代目へのバトンタッチ、いわゆる事業承継が難しい。

3.難しい事業承継

同族経営は血縁関係、特に息子や娘に承継するケースが多いが、様々な理由でM&A(買収や合併)を選択する企業も増加している。

某紙加工企業のN社。経営は順調だったが子供がおらず、M&Aへ。借金を返し手元には一般企業の社員の退職金程度しか残らなかった。某不動産会社のR社。上場企業に売却、従業員もR社オーナーも大満足。

某商社のY社。経営者の社長は会長に憧れ、部下のH氏に株式を半分以上譲渡(社員への承継)。しかし、次の株主総会で会長は退任させられ会社を追い出される。

目まぐるしく変化する経営環境の中で会社の舵取りは、より厳しくなっている。専門経営者に任せ、オーナーは経営にタッチしない。同族企業には見られない経営と資本の分離を増やすべきだ。
(Written by 川下行三 23/09/25)
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