物価高を乗り切るには
1.物価高騰は続く
2022年度の平均の消費者物価指数は生鮮食品を除いた指数が、2021年度より3.0%上昇した。第2次オイルショックの影響が続いていた1981年度以来41年ぶりの水準は驚きだ。
5月19日に発表された総務省の消費者物価指数によると前年同月比(4月)総合指数3.5%の上昇。生鮮食品を除く総合指数は3.4%の上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は4.1%と上昇が続く。
外食は6.9%の上昇、生鮮食品を除く食料9.0%の上昇と個別の高さは際立っている。6月には電力料金の値上げと暫くは物価高騰が継続する。
2.実質賃金は目減りしている
5月23日に厚生労働省が発表した3月分毎月勤労統計で、現金給与総額は前年同月比1.3%の上昇。ボーナスや残業などの一時金を含まない所定内給与は、0.5%と僅かに上昇。
しかし、現金給与総額を消費者物価で割った実質賃金は、前年同月比マイナス2.3%(5月9日の速報値はマイナス2.9%)と大幅に減少。12か月連続、実質賃金が低下している。
現金給与総額が伸びても消費者物価指数が上昇していると、賃上げが物価上昇に追いつかない状態がく。今春闘の結果が表れるのは6月以降だが物価上昇率を直ぐに上回る可能性は低い。
3.物価高、資源高にどう取り組むか
企業が物価高や資源高といった経済的な課題を乗り切るためには、先ずコスト管理と効率化を行う。生産プロセスの見直し、原材料の調達ルート、サプライチェーンの見直しなども検討しなければならない。
製品価格を上げている企業もあるが、売価に転嫁出来ない企業も多い。製品やサービスの付加価値を高めることで、価格上昇の影響を緩和する。顧客ニーズに合わせた製品改良や革新的なサービス提供も重要だ。
環境に配慮した取り組みやエネルギー効率の改善など、持続可能なビジネスモデルの導入に取り組むことで、コスト削減や競争力の向上につなげることもできる。
(Written by 川下行三 23/05/25)