リスキリング
1.学び直しが求められている
最近注目されているリスキリング(Reskilling)。リスキリングは直訳すると「再び学ぶ」。学び直しとも言う。昨年10月の第210臨時国会で岸田首相は個人のリスキリングの支援に5年で1兆円を投じると所信を表明。
何故にリスキリングなのか。構造的な賃上げ実現に向けての発言。日本の一人あたりGDPはお隣の韓国にまで抜かれた。要は企業の生産性が低く、労働分配率も低迷している。
賃上げと労働移動の円滑化、人への投資を進める中でのリスキリング。新しい知識やスキルを身につけ、新しい仕事に就く。それは、今まで企業がやっていた人材育成では対応出来ない。
2.企業がやった先進的な事例
ネット広告や動画配信サイト、ゲーム配信などをやっているサイバーエージェント。当時、ネット広告が収益の中心であった同社が、2011年にいち早くパソコンからスマートフォンへの転換を進めた。
スマートフォン市場で勝ち抜くため、多くの人材を投入し新しいサービスを立ち上げる。社内の人材もスマートフォンに集中させたが、開発者を大量に中途採用し外部人材を登用した。
広告と言えば電通。10年間の伸びしろはない、2011年には1兆8344億円あった売上げが2021年1兆185億円に減少。この期間、サイバーエージェントは2011年1195億円の売上げが2022年に7105億円と約7倍になった。
3.リスキリングが進む
サイバーエージェントはリスキリングの為に2021年11月に「リスキリングセンター」を立ち上げた。新しい技術トレンドに対応した技術者の学び、キャリア支援を行う。今回は外部からの人材を求めない。
2022年6月には国や地方自治体、企業など49の団体が参画する「日本リスキリングコンソーシアム」が発足。デジタルスキルを中心とした200以上のプログラムを提供。約50万人の人材育成を目指している。
某AIの学習を提供するB社。大企業が中心だが、何故か中小企業に接触。AI人材の育成として1社1名~2名が学習を受けているが、これでは何も変わらない。組織の1/4が変化することで大きく変わる。
(Written by 川下行三 23/01/12)