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コラム 人と経営

豊かさとは何か

1.ベネルクス

フランス、ドイツ、イギリスに囲まれたヨーロッパのへそに位置するところにあるベネルクスと言われる3国がある。ベネルクスはベルギー、オランダ(ネーデルランド)、ルクセンブルクを指し示す名称。

観光地として3国で3日間も有れば見て回れるが、経済や欧州の中心地として意味深い地である。この国々はフランス・ドイツ・イギリスなどの欧州の大国とうまく付き合いEUの創設に深く関わった。

壮大な実験を繰り返しているEU。第二次世界大戦まではヨーロッパでは絶え間ない戦争を繰り返していたが、この60年戦争は起きていない。
ベネルクス関税同盟からスタートした経済同盟がEUに波及した。

2.GDPで見る経済的な豊かさ

“豊かさ”は、経済的な指標だけでは測れないが、一つのものさしとしてGDP(国内総生産)がある。GDPには国全体をみるGDPの総額と、国民一人当たりのGDPがある。

その一人当たりGDP世界ランキング(2018年度)1位の国がルクセンブルク、オランダは13位、ベルギーは19位。ちなみに、日本は26位。

ルクセンブルクの一人当たりGDPは2018年度114,234ドルで日本円に換算すると約1,220万円になる。一人当たりGDP世界ランキングで圧倒的な首位として25年間ランキング1位を続けている。

3.ルクセンブルクとオランダ

人口が60万人と小国のルクセンブルク。名だたる金融機関がこの地に進出を行い営業をしている。商店が建ち並ぶエリア、川の周りに立つ住宅やレストランなど高層ビルなどは見当たらない。

世界で一番の富裕国、街の中心部を垣間見てその経済的な豊かさを感じることはなかった。移民が多いが町中で、浮浪者などは見当たらない。貧富の格差を見せない工夫が国家にある。

オランダの労働時間は年間1,400時間と、他のEU諸国や米国と比べても短い。オランダは日本が働き方改革で目標としている労働時間の短縮と同一労働同一賃金、この二つを既に達成している。

働き方改革先進国のオランダは経済も順調。浮浪者が見当たらないのは、移民であろうが家の無い人には政府が家を与える。労働環境から社会保障、経済的な豊かさと満たされた国民は豊かさを実感しているだろう。
(Written by 川下行三 19/07/16)
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