リーダーシップが問われる No.3
1.優良企業にも落とし穴が待っている
1兆円の売上げ規模の会社の不正が明らかになった。事務機器大手の富士ゼロックス。6月10日に役員更迭を発表。海外子会社間での不適切な会計処理が有り、375億円の損失を計上。
富士ゼロックスの親会社、富士フィルムホールディングスは新たに役員4人を送り込み、会長が富士ゼロックスの会長を兼務する。富士フィルムはフィルム事業の縮小から大胆なリストラを決行し成果を上げた企業。
富士フィルムの連結決算は、この10年で営業利益が倍増。液晶フィルムや医療、化粧品と新たな成長分野を開拓してきた。しかし、売上げ・利益の半分は子会社の富士ゼロックスが担ってきたのも事実だ。
2.日本国内の売上げは厳しい
事務機器メーカーは優良企業が多い。富士ゼロックス以外にもリコーやキャノン。前身が三田工業の京セラ、コニカミノルタ。複写機が稼ぎ頭のシャープ。その中でもリコーは優良企業のお手本だった。
1月に社長交代を発表したリコーは、国内売上げが低迷し、1000億円あった営業利益が1/3までに落ち込んだ。複写機が売れない、トナーやコピー用紙で稼ぐビジネスモデルが機能しない。
リコーの営業利益率は同業他社と比べて格段に低い。リコーに危険信号が点ったと言うことは他の複写機メーカーの台所事情も同じなのに、富士ゼロックスは好調を維持していた。そして不正が発覚。
3.ハードからソフトへ
ハードからソフトへと舵を切った世界の巨人IBMでさえ苦しんでいる。
小売りではアマゾンが米国、日本と快進撃を続ける。小売り大手の老舗百貨店やウォルマートまでが苦戦を強いられている。
そのアマゾンのクラウド事業は世界でマイクロソフトやグーグルを押さえ市場でのシェアや成長率が高い。これはIBMがやらなければならなかった事業だ。アマゾンでは社内の優秀な人材が企画し、開発を行う。
ハードではなくソフトなのだ。頭脳の差がビジネスで差をつけている。
アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾスは事業を立ち上げてから数々の失敗はしたが、挑戦すらしないことが一番の後悔だと述べている。
プリンストン大学での有名なスピーチでは、「80歳になったあなたが、あなたの過去を振り返り、その時に一番心に残っていること、思い出すことはあなたが下してきた決断です。あなたが何を選ぶか、あなたが下す決断が「あなた」をつくっていきます」。
(Written by 川下行三 17/06/20)