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コラム 人と経営

格差は拡がっている

1.ピケティの理論

フランスの経済学者ピケティのブームが一段落したように思われる。経済や経営専門誌がピケティを取り上げるのは理解出来るが、一般週刊誌から夕刊紙までがピケティの理論を強調して格差社会を論じている。

ピケティが他の経済学者がやらなかった過去数十年に渡って検証を行い、理論構築したことは偉業だ。経済成長率は、資本利益率を下回る。即ち、一度築いた資本から得られる利益の方がGDPの成長率より高い。

言い換えると、財産を持っている人々の収益は、一般の経済活動から得る利益よりも大きいと歴史が物語っている。これを証明したのがピケティだ。
政治が無能で有れば、格差は縮まるのではなく拡がって行く。

2.拡がっている米国の格差

この理屈は国にもあてはまる。過去、欧米の列強国は植民地支配を行い、自国の資本蓄積を増やして来た。新興国と呼ばれる国々は、やっと豊になりつつあり、努力はしているが先進諸国と拡がった格差は取り戻せない。

未開拓の国々に進出しては、その格安な労働賃金を利用し収益を上げてきた欧米企業。利回りが低くなるとマネーがマネーを呼ぶ貨幣資本主義に行き着き、リーマンショックを巻き起こした。しかし、懲りていない。

米国の格差は、僅か0,1%の高額所得者が米国民総所得の約15%を占める。そして、トップ1%で約34%と1980年以降拡がっている。新興国を除けば、これが先進諸国で確実に経済成長している米国の現実なのだ。

3.息切れする新興国

欧米に追いつこうと頑張っているアジアや南米、アフリカでの経済成長に陰りが出て来た。一番の牽引国で合った中国も危うい。ピケティの理論をあてはめると、これらの国々で国民がこれ以上豊になるには難しい。

東南アジアで所得の低い地域を訪れて見ると、ショッピングモールは賑わい多くの市民が買い回りをしている。ブランドものの洋服や商品は、安くはないが売れている。アジアで共通の光景は経済成長を実感する。

資本主義が生み出した価値観は揺らぎつつ有るとか、お金が全てを癒やせた時代が終わったとは、資本を持つ人々が言うセリフなのかも知れない。
労働でしかお金を得られない人々は格差是正を自ら行えない。

一番格差の少ない日本には逆転の機会がまだある、希望を持とう。
(Written by 川下行三 15/03/23)
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