空のビジネスに新しい風 No.3
1.スカイマーク破綻
1月末、JAL、ANAに次ぐ第三の航空会社として期待されたスカイマークが民事再生法を申請した。本格的なLCC(格安航空会社)が日本に上陸するまでの空の運賃に風穴を開けた行為は賞賛に値する。
スカイマークのN社長は、元々ネット業界で財を成した人物。M乳業から買い取ったプロバイダー会社で新興市場に上場。通信カラオケや100円メールなど話題をさらったサービスを展開。
2003年に旅行会社大手HISが手を焼いていたスカイマークに出資、自ら社長として乗り込み、再建を果たした。LCCの戦略に習い、中型機、主要路線に集中し搭乗率を高め、低コスト化と利益率向上を実現した。
2.日本のLCCは低空飛行
2012年、LCCが格安運賃で国内を席巻したことでスカイマークが対抗、路線拡大を図り、売上げ低迷と利益減に陥る。そこに、エアバス最新機の導入で万事休す。2011年最高益を出した同社は急降下で転落した。
日本の純国産LCC数社の役員クラスが昨年初めに登壇したK大学のセミナー。運賃を安くするのではなく、価値を高めて行くという方向性で足並みを揃えているかのように各社の戦略は似通っていた。
何故なら、スカイマークを除けば日本でJAL、ANAの資本が入らない国産LCCはもう無い。大手都銀が自ら消費者金融に手を染められない中で系列が出来上がっているように航空会社にも同様の構図がある。
3.2030年、アジアの空は変わるか
アジア路線は今後、経済発展する国々と人口増が約束されているエリアとして航空会社の重要地域と認識されている。しかし、2030年にアジアでは20万人のパイロット不足が叫ばれている。
一方、東南アジア主要国のフラッグキャリア(国を代表する航空会社)が経営難に喘いでいる。ガルーダインドネシア、タイ航空、マレーシア航空などなど。アジアのLCCも、経営面では厳しい状況が続いている。
需要は有るが、航空会社が利益に結びつけられていない。航空機材を提供するボーイングとエアバスは数年先までの大量受注に捌ききれない悩みを反対に抱えている。
(Written by 川下行三 15/02/10)