ヒット商品不在の時代 No.1
1.ボーダレス時代の訪れ
12月になると様々なメディアで、今年のヒット商品が発表される。今まではヒットしたなと思える商品が選ばれていたが、今はカテゴリーが広く、そんな大きなくくりでヒット商品と称されると首を傾げるものも多い。
例えば、日経MJが選ぶ今年のヒット商品番付にある東の横綱、インバウンド消費。これは円安を背景に外国人が大挙して押し寄せ、日本での旅行消費が前年対比で1,4倍になったことを言う。
大関張り出しの東西に選ばれた錦織圭と羽生結弦。両人に関連した商品やイベント等も大賑わいで有るが、ヒット商品と言えない。妖怪ウォッチやiPhone6などの単体商品も番付上位に入っているが寂しい。
2.ヒット商品の寿命は短命
日本のピーク人口が数年前の1億3千万人。永らく日本国内市場だけで食べて行けた生産者、販売者、消費者が程よい関係を築いていた。自動車や家電は、海外に向けた輸出も好調でその恩恵を受けた。
2000年以降インターネットの普及、新興国の成長に伴いグローバルにモノを生産、調達、販売する。その仕組みが出来上がり、ヒット商品もiPhoneのようにグローバルに売る企業が莫大な利益を享受する世界が出現した。
グローバル競争で勝ち残るには、その市場のトップ1~2社位だと思われる。買収合戦が至るところで行われている。ヒット商品と言えども、製品ライフサイクルは益々短命になって来ている。
3.生活者、消費者がリードする
グローバル、ユニセックス、年齢ギャップ無し、即ちそれぞれの境界が、はっきりしていた時代からボーダーレスの時代に突入している。顧客ターゲットを明確にすればするほど売れなくなって来た。
消費知識も販売者よりもユーザーの方が詳しい逆転の現象が現れている。商品比較サイトや口コミサイトは膨大なデータベースを日々消費者が更新している。ここでマイナス評価を受けると売れない。
反対にプラス評価を受け、好感度を持たれた企業の商品は、マス広告無しでヒット商品の棚に並ぶ。英語は世界共通語では無いが、世界の消費者の口コミの多くは英語で書かれている。
FacebookやツイッターなどのSNSがヒット商品に影響を与えていることは、マス広告を支えたメディアには脅威と写っているだろう。
(Written by 川下行三 14/12/19)