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コラム 人と経営

空のビジネスに新しい風 No.1

1.30年ぶりに羽ばたいた

1998年に日本の空に、新しい航空会社が2社誕生した。大手2社の独占状態から複数企業が
存在する普通の競争が可能な業界へと脱皮したかに見えたが、その実態は変わっていない。

デビューした新規航空会社だったが、2002年、その内の1社が民事再生法を申立て、大手1社の支援を受け、2003年に事業を再開。2003年にはもう1社が経営不振からベンチャー起業家のN氏が増資を引受け経営陣を一新。

そして、2002年に宮崎を拠点にした航空会社が新たに1社参入。2006年に北九州を拠点にした航空会社が1社運航を開始した。この4社が基幹路線に安い運賃を提供したが、大手2社も価格で対抗、結果は見えていた。

2.新規4社は低空飛行

遅れて参入した2社であったが、2004年には宮崎の会社は産業再生機構の支援を受け、もう1社も黒字スレスレの状態で筆頭株主は大手1社と言う有様。儲からない状態が続いている。

4社の内2社はANAと業務提携、1社は資本まで受け入れている。
2010年に会社更生法の適用を受けたJALも、産業再生機構の支援を受けて再建をはかった。
国の資金に頼った企業の多い業界だ。

日本の航空会社で順当な利益を出しているのは再建を果たしたJALを入れて大手2社のみとなる。この10数年、航空自由化が進んだが日本の空の体制は変化していない。国土交通省の規制に縛られている。

3.やっと本格的なLCCが誕生

そこに、本格的なLCC(格安航空会社)が2012年、関空拠点に1社、成田を拠点に2社が誕生した。1社はANAの資本、1社はANAとアジアのLCC大手の合弁、1社はJALと豪州のLCCの合弁だ。

LCCの定義は決まっていないが、定期航空会社と比べると半額もしくは1/3位の破格に安い運賃を設定、徹底的な合理化をはかり、機内サービスや食事などは提供されない。少人数で飛行機を飛ばす。

航空各社のコスト構造を見る指標として用いられるユニットコスト(1座席を1キロメートル運航するコスト)は先行する欧米やアジアのLCCは6円や7円だが、低空飛行の数社は11円から12円もかかっている。

コスト構造、すなわちビジネスモデルを変えない限り航空競争に打ち勝つことは出来ないだろう。
(Written by 川下行三 14/03/21)
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