グローバル資本主義
1.リーマンショック後の日本
リーマンショック後、世界が大きく変わったように見えた。しかし、この1~2年、世界の動きはマネーをベースにした経済、マネー資本主義が復興してきたように思える。
先進国は低成長に喘いでいるが、イギリスや米国の投資家は、今なお株式市場をはじめグローバル経済で大きな存在感を現している。アベノミクスに端を発した日本の株高は外国人の投資が呼び水になっている。
様々なエコノミストが、アベノミクスに警鐘を鳴らしている。為替が円安に振れれば、今までであれば輸出が伸びる。即ち貿易黒字へと転換する。しかし、昨年後半から今年にかけて貿易赤字が膨らんでいる。
2.円安が輸出を増やさない
円安が輸出を増やす、そんな理屈が通らなくなった。大手メーカーは、リーマンショック後海外での生産を増加させたが、国内生産は減り続けている。日本の輸出をベースにした産業構造が持たない。
輸入が増える、この構造は数年は続くだろう。原材料を輸入し、国内で加工、そして完成品を輸出する。自動車や家電産業が、それを牽引した。
しかし、もうその分野は新興国へとシフトしている。
現地生産を増加させている企業は生き残るが、そこで働く日本の従業員の仕事は確実に無くなる。大手家電メーカーは、消費財から産業財へと対象を変えた。そうしてやっと黒字を確保している。
3.中小企業の強み
大量生産型のビジネスは、益々グローバルに展開する。この分野で日本の企業は競争力が乏しい。研究開発とマーケティングの独自性、そして俊敏な経営者の意志決定、どれも不足している。
中小企業の強みは、ニッチな分野での競争力を持っていることだ。何でも屋では無く、極めることの出来る技術と商品開発力を兼ね備えている。
市場規模は小さいが、利益率が高く、長くビジネスを継続している。
大手企業も中小企業のような地域性や独自性を持たなくては、10年先、20年先も残れると限らない。迷える子羊のような大企業が多い。図体がでかいことは、これからは強みよりも弱みになる。
(Written by 川下行三 14/02/24)