日本の製造業 No.2
1.選別の時代
大企業の購買行動が大きく変化している。特に、日産自動車を始め大手自動車メーカーは、購買に改めてメスを入れようとしている。目的は、新興国マーケット向けの部品を汎用化し更なるコストダウンをはかる。
日産自動車は、1999年からの日産リバイバルプラン時に下請けを半減、購買コストを20%削減させた。そして、今、新興国への戦略的な車を投入、そのコストを大きくカットする。
部品メーカーは、従来のコスト削減で協力関係を築く時代から、選別の時代に突入した。注文が倍になるか、ゼロになるか。購買側は、工場単位の発注から本社発注へと舵を切っている。
2.天才でも変化に勝てない
数年前、過去最高の利益を享受していた某ゲームメーカーN社。そのN社に部品を供給していたH社。10数年前、一中堅企業だったH社、ゲームブームで売上げが数年で数倍に、地域一番の企業へと成長。
N社は2002年、天才プログラマーのI氏を新社長に起用。新型の家庭用ゲーム機をヒットさせ、高収益企業の模範となった。しかし、今やゲームはスマートフォンが中心になり、N社は赤字に転落。
携帯ゲーム機や家庭用ゲーム機に部品を供給していたH社も急速に業績が悪化。まるで、ジェットコースターに乗っているような不安定な経営状態が続く。
3.設備から人材へ
電車の中で、スマートフォンをいじる人々の多くはゲームをやっているかFacebookやLineなどのSNSに接続している。車内で携帯ゲーム機を見ることは少ない。この変化は、ここ1-2年で起こっている。
スマートフォンの先駆けは、1999年のブラックベリー。しかし、2007年1月、米国でアップルからiPhoneが発売。2008年7月、日本ではiPhone3G2009年、iPhone3GSが市場に投入され大ヒット、市場を席巻した。
製造業は設備が必要な産業だ。しかし、この変化に合わせ生産設備を更新していては儲からない。旧来の設備で新しいものづくりに対応出来なければならない。設備では無く人で対応する。
中小ものづくり企業は大きな市場を狙わない。少品種大量生産型の企業からの発注は受けない。ニッチでも十分やっていける体質をつくりたい。
(Written by 川下行三 13/08/09)