米国の強さと弱さ
1.政治よりも経済
オバマ政権2期目が始まり半年が経過した。相変わらず議会は多数の議席を持っている共和党がオバマの政策を通さない。ねじれ国会で決まるものも決まらない。しかし、経済は順調に回復している。
アメリカの製造業は1960年以降海外に拠点を移し、グローバル展開をする中で国内での影響力を落とし続けたが、ここにきて、アメリカ国内に製造を戻しつつある企業が増えている。
賃金上昇が続く中国やアジアでの生産コストがリスクになってきた。米国内には、メキシコから出稼ぎも含め3,000万人の労働者がカリフォルニアや西部に滞在する。賃金の安い労働者に不足しない。
2.交通渋滞と治安の悪さ
エレクトロニクスとモータリゼーションが現在の繁栄を築いた。広大な国土にハイウェイ、フォードやGMなどの自動車メーカーが経済を牽引した。
今、都心では車の渋滞が以前より増加している。
中南米からの移民を受け入れ、米国は高齢化を免れた。しかし、その反面低所得層の増加が治安の悪さを招いた。太平洋側の大都市、ロサンゼルスでは、ダウンタウンの高層ビルに入る企業が移転を余儀なくされている。
所得と治安は直結する。米国では貧富の格差が増している。裕福な層が暮らす住宅街は警備を厳重にし、その費用への支出は伸びている。本当に住みやすい国なのだろうか。経済発展の裏に隠れた大きなリスクだ。
3.夢と希望が持てる強み
ロサンゼルス国際空港から北へ30分走ると、カリフォルニア大学ロサンゼルス校がある。略称、UCLA、米国内で5本の指に入るマンモス校だ。ここへの留学生は、今はダントツに中国人だと言う。
米国の大学は、世界に門戸を広げる。米国の価値観やビジネスの流儀を教える。勿論、研究や先端の知識も習得出来る。卒業生は世界に散らばり、米国のシンパが増える。
シリコンバレーで新しいビジネスが起こる。僅か数年で、そのフォーマットが世界に伝播する、一例を挙げるとFacebookがそうだ。異文化と様々な人種が混じり合い、知恵となる。夢や希望がまだ、この国には有る。
(Written by 川下行三 13/06/16)