変化対応企業 No.3
1.停滞する企業
某中堅企業H社の中堅社員研修での事。H社の会議室で研修開始前に講師がプロジェクターの設置で悪戦苦闘している時、H社の研修生は何食わぬ顔で見つめているだけ。
誰一人、手伝いに駆けつけたり、プロジェクターの管理責任者を呼びに行ったりしない。数分経ち、やっと一人東京からの参加者が、同タイプのプロジェクターを持っているのでと進言してくれた。
H社は中堅企業として割と大きな商いをしている。しかし、この20年近く業績の進展は無い。H社の人事責任者は、「うちの社員は大人しいので、少し活を入れて欲しい」と研修依頼で口癖の様に言う。
2.成長している企業
ユニクロがグローバルで1兆円の売上げを目標に掲げている。山口県の用品店が僅か20数年で世界に店舗を展開した。この成長を果たしたのは、創業者・柳井氏の手腕によるところが大きい。
ユニクロは経営理念から行動指針まで詳細な内容を明示している。実際にユニクロで働いた幹部社員は、何か問題が起きると、周りにいる社員全員が駆けつける。そして素早く処理する。
現場主義が徹底しているユニクロの経営理念は、「現実を直視し、時代に適応し、自ら能動的に変化する経営」や「良いアイデアを実行し、世の中を動かし、社会を変革し、社会に貢献する経営」の一節が有る。
3.時代の流れを読む企業
「ソフトバンクが米国3位の携帯電話会社を買収」のニュースが流れた。
この買収が成功すると9千万人のユーザー数を抱えるグローバル通信会社に変身する。
パソコンソフトを流通する1企業であった会社が、30年で数千億を稼ぐ会社となった。時代の流れを敏感に読み、ヤフー、ヴォーダフォンと提携や買収を繰り返し、市場を築いた。
事業を通じて、「一人でも多くの人に喜び、感動を伝えたい」。「情報革命で人々を幸せにしたい」がソフトバンクの経営理念。時流を的確に捉えながら大胆に意志決定して行く孫氏の決断力には大企業経営者に無い力強さが有る。
(Written by 川下行三 12/10/15)