変化対応企業 No.2
1.時代の潮流は大きく変化している
米国で流行ったモノやサービスが数年経って日本に上陸する。戦後、エレクトロニクスを始め多くの製品が、米国文化と共に紹介され消費された。コンビニエンスストアしかりファーストフードしかり。
映像は、映画からテレビに大衆の関心が移り、今やインターネットの動画へと軸足が変化している。音楽メディアも、レコードからCD、そしてネットからのデジタル配信へと。
レコードの針やレコード盤を作っていたところは、数社を除き駆逐された。しかし、全ての需要が無くなってはいない。以前のような大量生産大量販売の市場は消えたが、根強いユーザーは僅かながら存在する。
2.ユーザーを変え新たな市場を開拓
兵庫県に本社を置く、レコード針メーカーのJ社。縮小する国内市場は、取扱販売店が有り、直接ユーザーに働きかけることは困難であった。レコード市場の縮小を、技術の深化と新たなユーザーの獲得で乗り切った。
そこで同社は、2000種類のレコード針を一貫生産し、海外からくる一般ユーザーの受注に応える生産体制を築いた。英語でインターネットの販売サイトを立ち上げ、発注から生産、出荷を1日で行える即納を実現。
海外の高級針を求めるユーザーに対象を変えた同社は、唯一無二の存在となった。一方レコード針以外に、20年前からダイヤモンドを使った工業製品や工具なども製造し、品揃えの幅を拡げ多角化にも成功している。
3.業態転換は大きな飛躍がいる
レコードレンタルからスタートしたカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)。30年前に枚方で産声を上げ、2000年には株式上場。順調に、ユーザー数を伸ばし、売り上げを拡大してきた。
2005年の第四四半期をピークに同社の売上げが減少に転じた。音楽や映画は、デジタル配信やオンデマンドにユーザーを奪われている。アップルが過去最高の利益を出したのとは対照的だ。
CCCは経営の自由度を求め、昨年上場廃止を選択。12月、「次世代のTSUTAYAを作る」を目標に、代官山T-SITEをオープン。ユニークな施設をつくった。ここのターゲットは、CCCが弱いシニア世代。
代官山蔦谷書店のゆとりのある空間は、こんな家に住みたいを思わせる。
レンタルから空間創造やリフォームへ。新たな収益に育つか見守りたい。
(Written by 川下行三 12/07/25)