ベンチャー企業
1.サーバーダウン、数千社
先週、ユーザー数数万社のレンタルサーバーF社のサーバーがダウンした。今もデータの復旧に至っていない。昨日、自社ホームページ上でサーバー障害の概要と原因について発表した。
その報告を受けてWEBニュースや大手マスコミで一斉に、昨日から報道が始まった。実際には顧客の約1割、数千社が被害を被った。値段は安いが共有型のレンタルサーバーは、見事にデータが吹き飛んだ。
ホームページ、メール受信データ、サーバー上のプログラム全てが泡となり一瞬で消える。
サーバーダウンの10数時間後、初期化されたサーバーが復帰、一からの設定作業にユーザーは怒りよりも戸惑いを覚える。
2.脆いベンチャー企業
今から15年前、関西の老舗企業K社のシステム会社の社員だったO氏が社内ベンチャーとして立ち上げたレンタルサーバーF社。始めは、バーチャルサーバーとして企業に売り込み、徐々に普及、K社から独立。
ITバブルにも踊らされず、着実に顧客を増やした。しかし、サーバーは金を食うことからヤフーの資本を入れ、子会社となった。その頃から少しずつ変調を来したのだろう。
創業社長のO氏は、数年前に社会面の載るような事件を起こして退社。
創業期のメンバーも残ってはいるが、役員はヤフーから、意志決定もヤフー色が強くなり売り上げ志向へと走り続ける。そして障害は起こった。
3.明るい未来はあったか
大阪発のベンチャーで有望だったF社。創業当時、グループウェアで上場したS社も大阪梅田で数人の事務所を構えていた。楽天が同時期に創業し、海のものとも山のものともつかぬ状態だった。
朝早くから夜遅くまで働き、徹夜も厭わない。そんな若手が夢を持ち、情熱を燃やしていた。
そして、2000年、ベンチャー企業向けの株式市場ナスダックが華々しく日本に上陸、ITバブルが起こる。
ホリエモンが社長を務めたライブドアの前身、オン・ザ・エッジもF社が創業した年に設立された。それぞれの生き方が有るが、インターネットが拓いた世界で、ビジネスが成立している。
肝に銘ずるべきだろう。ネットが造り上げた社会やシステムは決して明るい未来を保証しない。
(Written by 川下行三 12/06/26)