もしドラ風マネジメント No.1
1.もしドラは感動を創る
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら、が映画化され、この6月4日に公開された。原作はAKB48のプロデュースを担当した岩崎夏海氏の250万部を超えるベストセラー本。
主人公、みなみが高校野球のマネジャーになるところから物語はスタートする。そして弱小の野球部に魂を吹き込み、大きな目標を達成する。その魂がドラッカーのマネジメントだ。
みなみが所属する野球部の使命を「顧客に感動を与える」と定義付けた。
高校野球にファンが期待するのは感動だと。そして、この著書と映画は読者や映画ファンに「感動を与えた」。
2.ドラッカーの予見
もうドラッカーについて語る必要は無いと思うが、改めて経営やビジネスに携わる人への影響力は絶大だ。多くの著作を残し、経営を科学的に考察し、組織に関わる人々の可能性を見いだした哲学者でも有る。
日本の文化にも造詣が深く、日本の企業や日本のビジネスマンに贈った言葉も多い。同氏が晩年に書いた著書の中に、日本の官僚組織について触れている。官僚組織が行き詰まり混沌とする時代を予見している。
正しく今の混乱は、政治や行政組織が音を立てて崩れている。ドラッカーはこの状態が20~30年は続き、その後に新たな風景が登場する。日本人の資質に真摯さが残っていれば、必ず立ち直る。
3.成功体験を忘れろ
日本企業は戦後、様々な危機を乗り切ってきた。その成功が企業にも行政組織にもある。
成功体験が邪魔をする。ドラッカーの言うイノベーションはその先にある。革新は、現在の否定から始まる。
成功を捨て去るのは難しい。もしドラの著者、岩崎夏海氏は捨てる効用を語る。豊かさを物欲で満たしてきたとしてたら、先ずはそれを廃棄する。スリムにしたら、本当の欲求が湧き出てくると。
捨てると同義語では無いが守りも同様の行動になる。守りよりも攻撃。
今、日本人に求められているのは、イノベーションではないだろうか。
ドラッカーが生きていたら、そう励ましてくれるだろう。
(Written by 川下行三 11/05/31)