現在の大企業病 No.1
1.こんな財界にまかせられるのか
関西の財界を代表する「関西経済連合会」の新会長が5月23日の総会で就任。新会長は、関西電力の前社長で現在会長の森氏だ。東日本大震災の復旧・復興や首都圏機能の分散などオール関西で取り組むと発言。
関西電力の八木社長は、この4月から電気事業連合会の会長職を担っている。全国の電力会社は原発問題で、足下の社業が大きな転機に陥る恐れがある時に財界活動に重心を置いていいのかと言う不安もある。
東京電力は政府の支援が無ければ、事業の存続も危うい。震災が起きれば東京電力と同じ状況を関西電力(福井原発を持つ)が負う可能性も否定出来ない。関西財界首脳は何を考えているのか。
2.スピード感の無さ
今回の大震災で東京電力の体質は暴露された。官僚よりも旧い組織なのだろう。関西はどうなのか。関西のエネルギーは関西電力とOガスの2社で独占している。この2社も官僚体質が染みついている。
競争の無い世界で生きてきた組織は、変化に弱い。Oガスの本体ならまだしも、子会社でさえガチガチだ。ひとつの事を決めるのに、多くの時間を要する。上司の判断を仰ぎ、意志決定は遅い。
グローバルの競争で勝負するにはスピードが求められる。アジアの中でも韓国や中国の企業に負けているのは、この体質が大きい。戦略の決断を早くすべきだ。
3.ピラミッド組織は健在
日本の銀行は、欧米の銀行と比べると国際競争力が弱い。国債だけで利益を出し、商品開発力は乏しい。その他の金融もそう変わらない。証券しかり、保険しかり。リスクをとらない代わりに利益は薄い。
T損害保険は就職希望ランキングでも上位で、金融機関の中でも飛び抜けた優良企業だ。
体質は大企業病がやはり浸透しているのか、意志決定は遅い。重層な組織が壁を作る。
顧客に一番近い人々が、変化を感じ取り、組織を変える、商品を改良する。それが健全な組織だが、上司や管理職がその権限を持ち続けている組織は大企業病に冒されている。末端組織の対応を見れば分かる。
次号で中小企業でも拡がる変化不適応とその対策について述べたい。
(Written by 川下行三 11/05/16)