21世紀半ば、企業はどう変わる
1.市場が生き残って欲しい企業
21世紀半ばまでどれだけの企業が生き残っているのか。想像して欲しい。今までのマーケティングは、市場環境の変化に対応することが大命題であった。これからは社会に必要とされているか否かだ。
倒産寸前からまたは倒産後、速やかに再建した企業事例に、白い恋人の「石屋製菓」、伊勢の名物「赤福」、寺社の修理や建造の「金剛組」などがある。これらの代わりを務める企業がないから息を吹き返した。
強力なブランドや他社にない特殊な技能を持った人材を有するなど知的資産がモノを言う。
有形資産、いわゆる金融資産は食いつなぐことは可能でも、継続発展する証しにはならない。
2.環境をどう捉えるか
企業を取り巻く環境は、1990年以降大きく変化している。昨今の中東で起こっている一連の反政府デモを誰が予測できたのか。中国を中心とした急速な需要からくる資源高は想定の範囲を超えている。
世界的な資源枯渇やエネルギー不足は目に見える変化だ。だぶついた投機マネーを先進諸国がコントロール出来ないことも了承済みだ。そして、エコノミストや金融のプロが信用にならないこともわかっている。
今の経営環境を、真剣に捉えないと進むべき道は見えてこない。いくら優秀な経営層だとしても、全てを見通せない。経営の根幹になる市場の予測とそれに基づいた戦略を早急に立て直すべきだ。
3.変わりゆくコミュニケーション
インターネットへの接続に垣根が無くなったのは、1990年代の後半、僅か10数年前。携帯電話の日本での利用者が急増するのが1995-1997年。
コミュニケーションがアナログからデジタルへと大きく変わった。
衝動に駆られた若者が事件を起こす。彼らはネットの掲示板に胸の内を暴露している。グーグルで整理されたブログや会話の記録では事件を未然に防ぐことは難しい。デジタル社会が孤独感を増幅させる。
企業は、もっと社員の声に耳を傾けるべきだ。顧客とオープンな関係を築かなければならない。
社会で働く人々や企業はゆっくりとした変化を好んでいる。緩やかな着地点を双方で探す時代なのだろう。
(Written by 川下行三 11/02/28)