電気自動車元年 No.2
1.シリコンバレー流
テスラの会長イーロン・マスクがマスコミで大きく取り上げられている。
南アフリカ出身の若干39歳。3つの会社を経営。彼は、ペンシルバニア大学を卒業後、WEBサイト運営支援会社を起業、大手PCメーカーに売却。
その後、オンライン決裁サービス会社を起業、またもネットオークション大手に売却、2千億円近くの大金を手にした。それを元手に、テスラ・モーターズに出資、同時にエネルギー関連会社と宇宙関連会社を創業。
大学時代、人類にとって今後大切なテーマは何かと考えた。その答えは、「インターネット」「持続可能なエネルギー」「宇宙」。この3つの課題に、彼は挑戦し続けるだろう。
2.中国の電気自動車
今や中国は自動車の世界最大市場になった。中国政府が第12次5カ年計画において、2020年までに石油由来のCO2排出量を20%以上削減を目標に掲げている。電気自動車を戦略産業として位置付けた。
中国の電気自動車メーカーは既に数十社存在し、1万台を販売したと言う企業も有る。
販売価格が数十万円から百万を超えるものまで、多岐にわたる。中国政府はこの3年間で1兆円の補助金を出した。
2015年に中国で電気自動車がどれだけ普及しているのか、という予測が有る。生産規模が100万台から200万台という成長論者とせいぜい10万台位だという悲観論者に分かれる。
電池と駆動モーターの技術が要になる。
3.日本の新しい技術
日本のベンチャー企業S社が電気自動車の技術を開発している。慶応義塾大学の教授が開発した技術がベースで、タイヤの内側にモーターが有り、タイヤをじかに回転させる。力学上、ロスが少ない。
この技術は、約30年かけて開発し続けたものだ。2004年に試作した電気自動車はテストコースで300キロ以上のスピードを出した。S社は、電気自動車の生産はせず、その技術をライセンスで供与する。
S社のビジネスモデルは、パソコンに近い。インテルがCPUを提供するがパソコンの生産はしない。日本のIT企業がS社のライセンスを受けて電気自動車を生産する。2013年の量産化を目指している。
トヨタやホンダ、既存大手自動車メーカーのビジネスモデルが電気自動車では大きく揺らぐ。
(Written by 川下行三 11/01/15)