今やるべきことは市場創造 No.2
1.農業がビジネスになる
米国では大規模農業が当たり前で、世界に農産物を輸出している。一方、フランスでは小規模農業が多数存在し、ここも世界に輸出を行っている。
ここで言う農業は、一次産業のみならず加工の二次産業、販売の三次産業を含む。
日本の農業従事者の多くは、一次産業の農業をやり、それをJAが加工、販売している。
自らに販売のネットワークを持たない農業者はJAの下請けにもなっていない。
顧客や消費者の顔が見えず、物作りを行ってきたツケでも有る。元々、日本の農業政策のまずさであろうが、やっとここに来て、農商工連携や販売の多様化が始まった。
2.モクモクのやり方
今、三重県で観光農園や農産物の加工販売をしている「モクモク手づくりファーム」は年商40億円の規模の商いを行っている。約4万人の会員や農園の来場者に、加工体験や小売り販売から顧客関係を築く。
元々、JA職員だった二人が独立、伊賀豚の開発から事業はスタート。
ウインナーソーセージをログハウスで作っていた工程を体験させて欲しいと言う地元の要望から「手作りウインナー教室」が始まる。
少しずつ規模を拡大し、大型バスが何台も来る観光農園へと成長。園内に食べるところが欲しいから拡がったレストラン事業は、13億円までに。消費者の声を直接聞き、農業、工業、小売り、サービスを展開する。
3.地道な開拓努力とビジョン
園内で飛ぶように売れる加工品。レストランは、満席。カタログ販売は順調。
広告媒体を使わない。理念に共有した人々が会員になり、その会員が購入する。
売り込みは決してしない。
モクモク手づくりファームは約20年かけ市場を開拓し、ファンを作り、顧客を創造した。
地道な努力が実った。そして幹部は、その成功ノウハウを全国の農業者への講演などを通じて惜しみなく提供している。
モクモクは「ロマンと夢のある21世紀型農業」をビジョンに掲げる。
21世紀型農業とは、兼業ではなく、農業で食べていけること。福祉の分野でも、同じことが言える。農業者は、夢を語ろう。そして、世界に通用するビジネスへのドアが開く。
(Written by 川下行三 09/11/24)