新たな時代の幕開け No.2
1.知識社会に来る資本主義
前号で資本主義2.0と言うことを紹介したが、具体的にどう展開すべきなのか、一国の政策として舵を切るのか、または企業という単位で実行すべきものなのか。
「目に見えない資本主義」を記したソフィアバンク代表の田坂氏は、その大きな変化を表現している。貨幣に依存した経済から脱皮し、次に来る社会をそう命名した。
マネジメントの父と評される故ドラッカー博士は、知識社会の予言を随分前に行った。
そして、正しく知識社会に突入し、知的資産経営などと我が国政府が推奨をしているが、マニュアル作りに終わっている。
2.数字に表れない評価とは何か
企業というスケールで話しを続けると、決算書に表れない資産が知的資産になる。
それは、知的所有権だけではなく、企業の信用、人材、ノウハウ、信頼がおける取引関係、顧客との繋がり他。
田坂氏は言う「知的資産を増やす為にどういう活動をしてきたのか、または戦略的に行っているか」答えはNO。決算書に出てこない、即ち貨幣で表現出来ないものを計画的に構築している企業は皆無に近い。
目に見えない資本主義は、評判や関係や信頼、共感をどう増幅し、企業の資産に加えるのか。
国内市場の伸びは期待出来ない。売り上げや利益といった目に見える数字ではない評価軸を持つことから始めたい。
3.目に見えない価値を発する企業
若干28才の淑女が始めた企業が注目されている。マスコミにも取り上げられているのでご存知の方も多いだろう。バングラディッシュで製造したカバンをオリジナルなブランドとして自社店舗で販売している。
アジアの最貧国、バングラディッシュでジュート(麻の一種)地を使って製造加工し、日本で販売をするビジネスモデルだ。何故、バングラディッシュの製造にこだわったのか。
彼女は自署「裸でも生きる2」の中で語っている、「ただただ、良いものを途上国で作りたかった」。政情不安な国政の中で貧しい国民に夢を与え、ボランティアでは無くビジネスとして成立をさせた。
このバックが出来上がるまでの凄まじい過程をオープンにした。モノにプラスされたその経営哲学やストーリーに共感し、貨幣以外の価値を感じた顧客がいる。
新しい時代の社会資本家の誕生かも知れない。
(Written by 川下行三 09/10/08)