会社の姿勢 No.2
1.中小企業のおやじさん
暮れも押し迫った12月31日に友人が息を引き取った。まだ、52歳の若さだった。1年少し前にガン宣告を受け、入退院を繰り返し10月の入院が最後になった。
彼は、20年間勤めたP社を6年前に退社。再就職したが、転職先が求めた能力を発揮出来ず、次の仕事を探すことになった。そして、無事転職。
その会社O社が彼の終着駅となる。
O社は典型的な中小企業である。O社長は、彼が退院した時まともな仕事が出来なくても給料を払い続けた。勿論、就業規則は有るが、それを破り制度以上の対応を行った。正月3日、家族葬にO社長の顔があった。
2.大企業に哲学があるのか
世界一の自動車メーカーT社。期間工を切り捨てる。他のメーカーも追随。そのT社が先日、正社員を視野に入れた臨時社員の採用を行うと発表した。一兆円の利益を毎年計上しているT社がやるべき事は何か。
本田宗一郎は自分が死んだ時、社葬を辞めてくれと生前に言った。真意は、葬儀を行うと渋滞を引き起こし迷惑になると。車は確かに社会に役立った。しかし、これからの地球にどれだけ貢献できるのかは不明だ。
松下幸之助は水道哲学を提唱した。家電製品が水道の蛇口をひねるが如く消費でき、便利になる。大量生産、大量消費型社会の実現は物の豊かさを実現したが、失うものも多かった。
3.夢を持ちたい
人間が月に行く。20世紀にその夢を果たした。米国が威信をかけたプロジェクトは成功した。
今、米国はオバマ新大統領に賭けている。この21世紀を「豊かな社会」に出来るようなビジョンを待ち望んでいる。
日本の政治家に国民は期待を持てない。寂しい状況だ。官僚にも失望している。大企業も同じようなものかも知れない。権力を握っている彼らに社会的な使命や哲学が欠如している。
マネジメントの神様と呼ばれた故ドラッカー博士は、10年前から日本のこの状況を予測していた。まだ、数十年はこの苦しみを味わうだろうと。
閉塞感のあるこの時こそ、夢を持って生きて行きたい。このネットワーク社会を使えば、小さな組織こそ社会的使命を達成しやすい。パワーシフトは確実に起きている。
(Written by 川下行三 09/01/06)