ワーク・ライフ・バランス No.1
1.ワーク・ファミリー・バランス
少子化の急速な進行は、我が国の経済社会に深刻な影響を与えている。その対策として平成15年7月「次世代育成支援対策推進法」が成立。次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を行うため、自治体による取組だけでなく、企業に計画の届け出を義務づけた。
具体的には、仕事と子育ての両立に必要な環境を整備する。企業にとっては労働者のモラールアップによる生産性の向上、出産・育児を理由とする退職者の減少。企業イメージの向上などが上げられる。
さて、米国では女性の職場進出が日本より早く1980年代には、その対応策として「ワーク・ファミリー・バランス」への取組みを始めた。企業は女性の採用や活用、子供の保育など保育サポートを中心に行われた。
2.ワーク・ライフ・バランス
これが、1990年代に入ると女性社員のみならず独身女性や男性社員にまで対象が拡げられる。即ち、全ての従業員の私生活に配慮した制度やプログラム、「ワーク・ライフ・バランス」への取組みが始まる。
しかし、日本でも高度成長期は年次有給休暇を取得すると会社への忠誠心が無いように見られたように、米国でもそう言った企業の福祉制度を利用することは、昇進への影響を配慮してあまり活用がされなかった。
米国は1990年代の不況を乗り越え、リストラで少なくなった社員の有効活用をはかるため、積極的に仕事の再設計を含めた「ワーク・ライフ・バランス」へ力を入れるようになった。
3.働きがいのある会社
今年の2月に「働きがいのある会社」ランキングが日経ビジネスで紹介された。1位は、リクルートエージェント。従業員のコメントでは、派閥がない。職場での笑いが絶えない。経営陣に意見が普通に言える。 稟議がなく意思決定が速い。新しいチャレンジが奨励されるetc・・・。
この調査は、日本では始めて実施されたが、米国では10年前から行われ経済誌のフォーチューンで発表されている。今年はちなみにグーグルが1位になっている。
ハーズバーグの衛生理論から考えると、給与、作業条件、管理の仕方などの「衛生要因」は、不満足要因になっても満足要因とはなり得ない。「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」「昇進」などの「動機付け要因」が働きがいに繋がる。
「ワーク・ライフ・バランス」では、どちらか言うと「衛生要因」に入るものも多いが、次号で詳細を述べる。
(Written by 川下行三 07/10/17)