指図(さしず)すると人はバカになる No.1
1.笑いの経営
自動車用品をチェーン展開している某大手小売り・サービスの二代目社長は、「笑いの経営」を方針としている。先代オーナーが典型的なワンマン経営、「怒りの経営」でこの会社を引っ張ってきた。
二代目社長は、自分は創業者ではない、ワンマンでは人はついてこない。
大きくなった会社を継承できない。先代とは正反対の経営を目指した。
自主・自発・自律の人づくりで企業風土を変えた。
創業オーナーの元で良く見られる典型的なトップダウン体制。しかし、それが続くと硬直した会社になっていく。家業から会社経営へ、そして社会に認知されたカンパニーへと。二代目は見事に改革を実行し、新たな成長ステージに同社をのせた。
2.指示命令をするな
元ソニーの上席常務が、低迷するソニーへの警鐘を某雑誌で新年に発表し、話題を呼んだ。ソニーショック以降、経営陣が変わり少しずつ良くなっているように見えるが、危機はまだ脱していない、と。
体質は変わっていない。彼は、ソニーが米国型のマネジメント手法を導入し、おかしくなった。それは、富士通など大手も導入し同じような打撃を受けた。
創業期のソニーは井深大の元、目標を明確に持ち、燃える集団を形成していた。管理職や幹部は指示命令をしない。彼らにまかせて、事を成し遂げていた。彼は、これを、「長老型のマネジメント」と呼ぶ。
3.管理職は「指示するな」
管理職は、部下に余計なことを言うなと指導しているユニークな会社が岐阜にある。部下の邪魔をするなと。どんどん自分の仕事を部下に任せて行けと。
係長は課長の仕事を、課長は部長の仕事をこなす。少しレベルの高い仕事にチャレンジさせて部下の成長をはからせる。機会を与えて、黙っておく。管理職にはつらい作業だが、自分の成長にも繋がる。
この会社は、成果主義を否定する。年功序列を守る。年間休日が140日と常識を外れている。仕入れ部門が、まとめて資材発注するのではなく、各担当者が自ら購入する。何故なら、物を買うのは楽しい。楽しい仕事を現場にまかせる。
人が喜び、感動し、楽しく仕事をするのは、やらされていては得られない。指示・命令の文化からは出てこない。自主・自発・自律からスタートする。
(Written by 川下行三 07/02/28)