組織の本質を考えてみよう No.2
1.公的交通機関の使命を考えよ 2
JALの問題の多くは規制緩和が影響している。収益構造から見ると、国内線より国際線。それを、赤字構造のJAS(東亜国内航空)を吸収合併することで全日空(ANA)に対抗しようとした。
航空法の改正が1990年代から行われ、点検の整備士の人数減から定期点検整備を海外整備工場に委託できる制度が施行された。JALは売上げ減からコスト削減へとまっしぐらに進んだ。
それが度重なる航空機トラブルの引き金になっている。JALは様々なトラブルによる売り上げ減が響き、今期の赤字は数百億円に及ぶ。
2.歴史に学べ
組織の本質は、その原点とも言える創業期の出来事を知ることから始まる。現在や未来に対して目を向けることは当然のことだと思うが、どういう使命をもとに組織が結成され、どのようなプロセスを経て現在があるのか。
上場している某中堅の製造業は、現在4代目になる。オーナーと血縁関係の無い社長が事業を引継ぎ、新たな目標を設定し大きな飛躍に繋がる勢いを持つ。
その企業は中期計画を作成する前に、自社の歩んできた道を整理し、世間に公表した。どんな想いで創業期を乗り切り、成長期を謳歌し、成熟期へと突入してきたのか。そこに次世代への夢が隠されている。
3.組織の最適化を目指す
全社員が一丸となって事を始める。または、目標に向かって突き進む。理想ではあるが現実とは違う。社員の数パーセントは横を向いている。顔だけ正面を見ているが心は彷徨っている。
アリの世界では80%のよく働くアリと20%の働かないアリが存在する。働かないアリを排除すると生産性がアップするのかと思うと、現実は逆。その働くアリの20%が働かなくなる。
何度繰り返しても、同じ結果になる。働かないアリも役割を演じている。そのお陰で働くアリの存在感が増す。場を盛り上げるのも役割。リーダーシップも役割。人間の世界も同じだ。
現有勢力でいかに一体感を高め成果に結びつけるかは、実はあなた次第。ビジョンを掲げ、メンバーの個性を理解し、実行への補佐に努める。組織の将来は、優秀なリーダーにかかっている。
(Written by 川下行三 06/04/15)