日本経済の行方 No.1
1.アベノミクスで経済は上向いているのか
景気観測の指標は様々に発表されているが、実態を写したものは少ない。
国会で安倍総理と野党との論争を見ていると賃金一つとっても出てくるデータには相違が有り、どちらを信用していいか解らない。
株価はアベノミクスへの期待で大きく上昇し、賃金が多少プラスに転じても消費者物価が上がれば、実質賃金はマイナスに陥る。すなわち、多くの国民の生活はこの数年で苦しくなっている。
急激な円安を是認する日銀幹部。米国の景気回復が本物なのか。欧州の2015年GDP予測は芳しく無い。中国、韓国も陰りが見え、米国の一人勝ちの様相である。インドやアフリカの元気な国々も有るがまだグローバル経済での影響力は微々たるものだ。
2.中小企業に厳しい時代
日本の中小企業が生き残るには、グローバルな展開を行い海外に打って出るか、国内のニッチ市場でマーケットシェアを高めるか。もしくは、規模を縮小し、中核の事業のみを残し生きながらえるか。
この大変化は既に始まっており、もう後戻りは出来ない。日本の人口は確実に減少する。国内市場は小さくなる。賃金が今後、大幅に上昇することは無い。日本国内の景気が上向く余地は少ないと思われる。
悲観的なシナリオを描いてしまうが、この中で中小企業は戦っていかねばならない。大企業と比べて、規模が小さい分、方向転換はしやすい。
いくらでも新たな道を探すことはできる。
3.大企業にはもっと苦しい時代
ソニーショックから、未だにソニーは蘇れていない。個人から法人に舵を切ったパナソニックは何とか利益を捻出しているが、本当の構造改革には至っていない。数年後にもっと厳しい選択を迫られるかも知れない。
エレクトロニクスのグローバル市場のライバル企業は、フィリップス然り、ジェネラルエレクトロニクス(GE)も、個人を対象にした家電から撤退をしている。市場の変化に対して素早い対応をしている。
日本の大企業は、戦略転換が遅い。グローバル企業と言いながら、本社は日本に有り、各国市場に疎い。そして合議制をとる役員会ではドラスチックな経営判断は出来ない。
米国の一人勝ちは当分続くのだろう。
(Written by 川下行三 14/10/10)