ジョブ型雇用
1.メンバーシップ型
日本企業は永らく、日本的経営の三種の神器、終身雇用、年功序列、企業内組合で成長を遂げてきた。終身雇用を前提とした「メンバーシップ型」と呼ばれる雇用形態を日本企業の大半が採用した。
「メンバーシップ型」は職種や職務内容を決めずに新卒者を一括採用し社内教育を行い適正な職務に就けていく。賃金は勤続年数に応じて支払い、企業との長期に渡っての雇用関係を築く、人と企業を結ぶ。
海外企業の採用は新卒を一括採用することは無く、キャリア採用と同じく人材が必要になった時に行われる。新卒であっても即戦力が求められ資格や職務能力が無ければ採用されない。
2.ジョブ型
海外企業の多くは、雇用する時に職務内容をを明確にし職務記述書(ジョブディスクリプション)を作成し必要な知識やスキル、経験、労働時間他労働条件を提示し、雇用契約を結ぶ。
この数年、日本でも多くの企業で採用されつつある「ジョブ型」雇用。必要な職務内容に対して、その職務に適したスキルや経験を持った人を採用する。働いた労働時間ではなく職務や役割、成果で評価する。
世界約30万人の社員の半数が海外人材である日立製作所。2008年にジョブ型を採用し、ジョブ型人財マネジメントの運用をはじめている。全社員の職務経歴書を作成し、「人と仕事」が結びつく。
3.成果主義と年俸制
バブル崩壊後、失われた30年の中で企業業績は低迷を続け、賃金は上がらず苦しんできた。2000年に入って業績に連動した成果主義が台頭し一部企業で導入された。成果主義と併せて年俸制を採用する企業も増えた。
しかし、失敗に終わった企業が多い。某IT企業大手のF社、管理職のみの成果主義に基づいた目標管理制度、そして年俸制を実施。評価制度の問題も有り、チャレンジ精神も損なわれ、業績悪化に結びついた。
大阪の某団体向けのシステム開発を行う中堅企業S社。20年前から年俸制を採用。管理職限定ではなく、新入社員からの年俸制。年俸には賞与・退職金・諸手当を含む。月割りすると大卒初任給21万円よりも多い。
(Written by 川下行三 24/09/25)