パートタイマーの実態
1.非正規雇用・パートタイム労働者の実態
総務庁労働力調査で2022年非正規雇用労働者の推移を見ると全雇用者数5689万人の内、非正規雇用者数約2101万人で構成比は36.9%。パートは1021万人、アルバイト453万人、派遣社員149万人、契約社員283万人。
非正規雇用労働者の人数は増加しており、パートタイム労働者の雇用者は2022年の非正規雇用労働者に占める割合は約5割、全雇用者の約18%と基幹的な戦力として定着している。
パートタイム労働者の給与や福利厚生の面で不安を抱えていたり、労働条件の不透明さも課題となっている。社会保険の適応により、パートタイム労働者の働き方が変わることが期待されている。
2.社会保険・130万円が106万円の壁に
2024年10月から短時間労働者への健康保険・厚生年金保険の適用拡大が行われる。今は厚生年金保険の被保険者数が101人以上の企業で週20時間以上働く短時間労働者は、厚生年金保険・健康保険加入対象になっている。
10月からは従業員数51人以上の会社に適用拡大し、月額賃金が8万8000円を超えると扶養を外れて社会保険の対象となる。給料から健康保険や介護保険、年金などが一気に引かれるため、手取りが大きく下がる。
短時間労働者は将来受け取る厚生年金や傷病手当金などの保険給付を受けられるメリットがあるが、企業は社会保険料の負担増や事務手続きが増加する。
3.賃金は増えているか
直近の2023年第4四半期において、パートタイム労働者の時間あたり賃金は前年同期比で3.8%増加、月間賃金も2.6%増加。パートタイム労働者の賃上げ率が某産業別労組では正社員を8年連続で上回っている。
令和4年のパートタイム・有期雇用労働者の労働組合員数は約140万4,000人で、前年に比べて約4万1,000人増加。全労働組合員数に占める割合は約14.1%で、前年13.6%から0.5%増加している。
非正規雇用労働者は、正規雇用労働者に比べ、賃金が低い。令和元年の調査によると50~54歳の正社員の時給は2,476円、短時間労働者は1,481円と1,000円の開きがある。同一労働同一賃金はまだまだ進んでいない。
(Written by 川下行三 24/03/25)