働き方改革は今
1.同一労働同一賃金
2016年、当時の安部政権が「一億総活躍社会」の実現を目的とした「働き方改革実現会議」が発足。2018年、時間外労働の上限規制の導入や同一労働同一賃金の原則など、「働き方改革関連法」が成立。
働く人々が個々に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革が「働き方改革」。2020年4月には、働き方改革関連法の一つ、同一労働同一賃金が導入された。
そして4年近く経ったが、実際のところ正規雇用労働者と非正規雇用労働者(有期雇用労働者やパートタイム労働者、派遣労働者)の待遇差は改善されていない。未だにパートタイム労働者の賃金は最低賃金プラス。
2.時間外労働の上限規制
2019年4月に改正された労働基準法では、時間外労働の上限が法律により規定。その適用が5年間猶予されていた事業・業務に、建設の事業、自動車運転の業務、医療従事の医師、砂糖を製造する事業(鹿児島、沖縄)。
適用猶予されていた建設業、運送業は臨時的な特別の事情がなければ上限が、原則として月45時間、年360時間以内となる。この4月からは、それを超えることはできない。
人手不足が常態化している建設業や運送業では残業が年360時間を優に超えている。この上限規制は、差し迫った問題だ。企業は様々な対策をして対応をしているが建設費や運送費のアップは避けられない。
3.賃上げが一番
1月24日、経団連、連合などが参加し2024年の春季労使交渉がスタート。消費者物価上昇が3%を上回る中で、今年の大企業の定昇含む賃上げ率も3%から4%の攻防と予測される。
1月23日、最新(2023年11月)の毎月勤労統計によると実質賃金は前年比-2.5%と20ヶ月連続のマイナス。実質賃金とは、労働者が受け取った名目賃金から、消費者物価指数による物価変動の影響を盛り込んだ賃金。
働き方改革は、時間外労働の削減、有給取得、同一労働同一賃金。しかし、労働者の一番望んでいるのは賃金アップ。過去最高の利益を出した大手は満足な賃上げを実施出来るが、中小は厳しいだろう。
(Written by 川下行三 24/01/25)