補助金漬け
1.ものづくり補助金
平成24年(2012年)度補正予算からスタートした「ものづくり補助金」正式名称は、ものづくり・商業・サービス補助金。今年度は令和4年度2次補正予算(2022年12月に成立)により第6次は7月より公募が開始。
製造業が設備投資をする際の費用への補助金(補助率1/2)で、生産性向上のためのサービス・試作品の開発や、生産プロセスの改善を行う。中小企業を支援する制度として年に2-3万件の応募がある。
2018年度までの予算は1,000億円程度だったが、2019年度から2,000億円に上乗せされている。今年度からの変更点は、21人以上の企業は、大幅賃上げしたら更に1,000万円補助金が上乗せされる。
2.農業から製造業へ
農業・林業、漁業にも補助金を政府が支出してきた。例えば、2017年にまで50年にわたり続いた減反政策。莫大な予算を使ったが農業を主に生計を立てる事業主は減少。
農林水産省の令和5年度概算予算は約2兆7000億円。令和4年補正予算は約8200億円で併せて約3兆5000億円。多くは様々な対策費や交付金など補助金や助成金に消えている。
バブル景気の時代、日本の製造業や金融、不動産業は世界に確固たる地位を築いていた。しかし、バブル崩壊後大きく後退。そして、政府の補助や政策の対象が農業から製造業に移った。
3.新しい産業への転換
経済産業省の令和5年度予算は1兆6896億円、令和4年度の補正予算が11兆1274億円、併せて約12兆8000億円。中小企業・小規模事業者等の事業継続・生産性向上・転嫁円滑化・資金繰り支援が補正含め約1兆2000億円。
製造業でも自動車に次いで強かった半導体製造が弱体化し、経済産業省を主導した産業再生機構が関わり新会社を設立したが倒産。負債総額は4480億円。その後、液晶事業も同じ経路をたどる。
政府が補助金をバラマキ、それで強くなる産業は殆ど存在しない。産業構造が変わり、その変化に対応出来ていない多くの日本企業。補助金で企業を延命させるのではく、新しい産業への転換が必要だ。
(Written by 川下行三 23/10/10)