少子化問題を考える
1.育児・介護休業法が改正
育児・介護休業法が来年(2022年)4月に改正される。2020年度の母親(女性)の育児休業取得率が 81.6% に対し、父親(男性)の取得率は12.6%だ。まだまだ男性の取得が進んでいない。
2021年の通常国会で、男性の育児休業の取得促進等を目的とした育児・介護休業法の改正案が成立。趣旨は、「出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、男女ともに仕事と育児等を両立できるようにする」。
柔軟な育児休業の枠組みの創設(休業の分割が出来る)、雇用環境整備及び 労働者に対する 個別の周知・意向確認の義務付け(研修の実施や相談窓口の設置他)など。
2.少子化社会対策大綱
政府は、昨年5月に第4次「少子化社会対策大綱」を閣議決定した。「希望出生率1.8」の実現に向け、令和の時代にふさわしい少子化対策として2025年に向けた子育て施策の指針となる。
背景には、2019の人口動態統計から出生数が86万人と始めて90万人を下回った。いわゆる86万人ショック。出生率も1.36%と低下した。30年間様々な少子化対策を政府は行ってきたが、成果が出ていない。
出生率が一時低下し2.0%まで回復したフランスやスウェーデンは、子育て支援の充実、男女ともに働き子育て出来る両立支援などの対策が有効に働いた。
3.スウェーデンの子育て支援
スウェーデンは、「子育てがしやすい国ランキング」で2019年に1位になった。妊娠、出産にかかる費用は基本的に全額政府が負担する。育児休暇や出産休暇は両親休暇として子供一人につき480日取得出来る。
父親(男性)の育児休暇取得率は90%で日本の女性の取得率を上回っている。大学までの学費や18歳未満の医療費も政府が負担し、無料だ。尚且つ、毎月14,000円の子ども手当が高校卒業まで支給される。
スウェーデンも30年かけて対策を実施し出生率を上げてきた。スウェーデンと比べると日本は子育て対策が見劣りする。人口減少は国力を落とす。「希望出生率1.8」の実現に向けて真剣に向き合って欲しい。
(Written by 川下行三 21/12/27)