使命を果たす会社
1.ESGとは
ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字をとった略字。
財務情報を基軸としていた観点からESGを重視した企業に投資する。
今までは売り上げ、利益を重視し株主に還元をしている企業に投資が行われてきたが、ESGは環境や社会への配慮、企業統治の向上を通じて企業価値の拡大を目指す点で違いがある。
ESGでは企業の決算では見えない、企業の使命や思想、知的資産や従業員のレベル、コミュニケーションやのれんなど見えざる資産がものを言う。
2.フランスで始まった「使命を果たす会社」
「使命を果たす会社(Entreprise a Mission)」は、2019年にフランスで制定された新しい法律だ。企業が利益以外の社会や環境の改善の目標達成に責任を負うことを明記した。
フランス食品最大手のダノンがその第1号(上場企業として)となった。同社は定款を変更し1 製品を介した健康の改善、2 地球資源の保護、3 将来を社員と形成すること、4 包摂的な成長を目標に盛り込んだ。
食品業界のみならず工業生産が始まってからは、大量生産、大量消費のサイクルが重視されてきたが、これは大量廃棄に繋がり環境に配慮されていない。同社は循環型のサイクルを目指すと言う。
3.日本の中小企業
ここ数年に大きく伸びている中小企業に共通している行動がある。規模の大小はあるが、経営者の強い想いがある。社会に役立つことや社員の幸せを理念に掲げ邁進する。
例えば、某製造業のY社。社員に優しい。通常業務が困難な社員にも様々な仕組みを用いて社員の成長を促す。生産性や結果だけを見る企業ではこの社員は続かないが、仕事をこなす。
大手企業にはない愛情が、社員だけではなく取引先、仕入れ先にも見られる。これが中小企業の強さだ。政府が言い出さなくても十分に使命を果たす会社が数多く存在する。
(Written by 川下行三 20/08/10)