増える外国人労働者
1.技能実習制度は偽りの外国人雇用
この1月25日の報道では、外国人技能実習生に計画と違う作業をさせていたとして三菱自動車工業。労働基準法違反のパナソニック。日本を代表する両社の実習計画認定の取り消しが法務省より行われた。
元々、技能実習制度は1993年に、開発途上国の外国人が実践的な技能・技術を修得するための技能実習制度として導入。製造業のグローバル化が進み外国人技能実習生の受け入れが加速した。
しかし、3Kの職場が多い製造業などは日本人雇用が進まず、技能実習生を受入れ、実習と言う衣を被せて通常労働をさせてきた。特に、賃金の未払いや超過労働など違法行為が目立ち、法制度の見直しに至った。
2.入国管理法の改正に踏み切った政府
パナソニックや三菱自動車工業などの外国人技能実習制度認定取消企業は、今後5年間、改正入管法新設の在留資格「特定技能」を得た外国人の受け入れができない。
2019年4月1日より施行されることが決定した改正入管法。2018年年末の国会で野党との攻防を振り切って法案を成立させた。しかし、その中身は政令・省令待ちにも関わらず、この改正で外国人労働者が日本で自由に働けるようになるのではとの誤解も生まれている。
基本的には、労働力人口の不足を解消すべく法律改正に舵を切った。現在でも留学生や技能実習生、専門的分野を仕事にして在留資格を持っている人を含めて外国人労働者は130万人を超えている。
3.シナリオ通りに増えるか外国人労働者
政府は2019年から2024年にかけて、特定技能を持った外国人労働者を受け入れて5年間で30万人増やそうというシナリオを描いている。問題になるのは特定技能の業種を規定はしているが単純労働も可能とする。
そして、特定技能も業種により2つに別れ、条件を満たせば永住権を認める。施行を待つ法律としては問題が多い。
法務省は新しい在留資格を創設する入管法の政令と省令で、雇用契約や新在留資格の更新審査に関する細則や運用を規定する。3月までに公布し、改正入管法と同じ4月1日に施行する。
イギリス、ドイツ、フランスなど欧州の主要国は移民の増加に国家が揺れている。現地で目に付くサービス業従事者は外国人労働者が占める。難民、移民の拒否に動く欧州の国々、今一度世界を見つめて欲しい。
(Written by 川下行三 19/02/28)