盛者必衰の理をあらわす No.1
1.任天堂の躓き
任天堂の2011年4~6月期の連結決算は営業損益が377億円の赤字に転落。
2月に発売した3DSの販売が振るわず、4~6月期の世界販売は71万台。
今期目標1600万台の目標は変えず、本体値引きと言う手法に驚く。
任天堂はDS、Wiiなどの販売が好調だった2009年3月期、2,790億円で過去最高の純利益を叩きだしたが、僅か2年で失速。
グリーなどの携帯ゲームの躍進で、ゲーム市場が大きく変化。若者が、自分の携帯で無料ゲームをする。ハードを普及させソフトで稼ぐ。任天堂のビジネスモデルが揺らぐ。
2.日本のハイテク企業の不振が目立つ
任天堂のライバル、ソニーも情報漏洩、薄型テレビの不振で2011年4~6月期155億円の赤字。
反対に好調なアップルは過去最高益の5788億円。
サムスン電子は2,600億円と共にスマートフォンが利益に大きく貢献。
ソニーもパナソニックもスマートフォンやタブレット市場の流れに乗り遅れた。薄型テレビも赤字事業化しつつある。パナソニックがテレビ用の液晶パネル工場を売りに出しているが、未だ契約に至っていない。
日本企業の停滞が目立つ。唯一スマートフォン向けのフラッシュメモリーの販売増で利益が期待出来たが、円高で儲けが吹っ飛ぶ。震災復興需要も円高で相殺し、苦しい状況が続く。
3.盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理
平家が国を治めていた時期はそう長くない。有名な平家物語の冒頭の一節に「盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理」がある。どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわす。
よく読まれる冒頭は「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ」
この世のすべての現象は絶えず変化し、栄えはずっとは続かない、何れ滅びると述べている。
現代ハイテク企業は、正しく平家のごとく、短い命なのかも知れない。
絶えずイノベーションを怠らない。革新的な企業のみ生き続ける。
(Written by 川下行三 11/08/31)