現在の大企業病 No.2
1.ボトムアップが機能していた
前回で優良企業と呼ばれる企業に潜む大企業病について触れた。売上げ規模が数千億円を超えると、従業員も数千名へと膨らむ。肥大化した組織を維持するには官僚統治機構が必要になって来る。
官僚統治は、指示命令系統が明確になりトップダウン型組織が機能する。
しかし、戦後の日本企業は、生産現場を中心に小集団活動を活発にしてボトムアップで世界の頂点にのぼり詰めた。
現場が日々改善し、より良い品質の製品を製造する。現場の声が企業の上層部に届く。
右肩上がりの経済環境の中で何もかもがうまく動いた。
従業員と会社の夢が合致したことも大きい。
2.グローバルな市場での連戦連敗
現在の経済環境は、欧米及び日本にとっては大変厳しい状況が続いている。先進諸国はグローバルな経済に富の源泉を失いつつある。将来に希望が持てない社会は保守的に成らざるを得ない。
グローバルな闘いで、日本の大企業はサムソンやLGなどに破れ市場を失いつつある。フランス流通大手の家電売場、液晶テレビのコーナーにSONYや東芝がちらほら、後は韓国勢が占拠している。
パナソニックやシャープは見当たらない。携帯電話も然り。日本メーカーは、SONYエリクソンのみ。家電王国日本の強さはどこにあるのだろう。欧州で、自動車はまだ頑張っている。
家電は不甲斐ない。
3.中小企業で拡がる変化不適応
グローバル経済に軸足を置いた戦略をとっている企業は希だ。日本国内で充分食っていける。
保守的で尚、官僚的でもやっていける。過去の延長が通用した。その日本国内の市場は残念ながら縮小を続ける。
中小企業も体質は、大企業と何ら変わらない。トップダウン、官僚的な組織が蔓延している。
変えるよりも続ける。その内に組織全部が病に冒される。茹でカエル現象だ。
水を一杯張った鍋にカエルを放り込む。徐々に鍋を熱する。カエルは、その少しずつの温度変化に気づかず、茹で上げられる。小回りの利く中小企業でも同じだ。浦島太郎にならないようにして欲しい。
階層が低く、コミュニケーションが取れていると錯覚している中小企業の経営者は多い。
独りよがりだ。先ずは病の重さを認識すること。そして、変化を起こす。これが第一歩だ。
(Written by 川下行三 11/07/20)