電気自動車元年 No.1
1.日産の量産化
先日、日産リーフの量産工場を視察した。10月末に生産を開始したところである。横浜から十数分、追浜にある歴史ある工場のラインで混流生産されている。4車種が工程に流れ、組み付けが行われる。
エンジンではなく、モーターが。ガソリンタンクではなく、エネルギー効率が高い容量24kWhのリチウムイオン電池がのっかる。最大航続距離は、160km~200kmだが、実際は100km位で充電の必要があるだろう。
車両本体価格は370万を超える。しかし、政府の補助金を使い300万円を切る価格設定を行った。12月20日の発売日が迫るが、既に予約は完売。来年3月まで生産されるリーフは、その予約者の手元に納車される。
2.テスラの脅威
米国、シリコンバレーのベンチャー企業、テスラ・モーターズは、トヨタ自動車やパナソニックと業務提携を行った。やっと、テスラはスポーツカーの電気自動車を発売したところである。
電気自動車は、バッテリーが要だ。高性能・大容量の自動車用の電池は高価で開発に時間がかかる。先行販売している三菱自動車や日産自動車は、バッテリーメーカーと組み自社専用の電池を開発している。
しかし、そんな開発費用の無いテスラは、汎用性で安価なパソコン用のリチウムイオン電池に目を付け、それを直列と並列で約6,000個積むことで高性能・大容量を実現した。
3.自動車産業の崩壊
今まで、自動車は裾野の広い産業として日本経済を牽引して来た。日本国内で量産化し、それを輸出する。このビジネスモデルが崩れつつある。
その一つの兆候は電気自動車の台頭だ。
今一つは、タイマーチが象徴する海外生産、国内輸入。即ちグローバル化のスピードが速まっている。安いところで生産し、高いところで売る。
日本の製造業は、どんな付加価値をつけられるのか試されている。
2020年、専門家の予測では電気自動車は10%位のシェアを占めるだろう。
しかし、予測以上に劇的な変化が訪れる。トヨタのプリウスが今も国内の単一車種で売上げ1位を確保していることがその現れだ。
(Written by 川下行三 10/11/30)