感動を呼ぶドラマ No.2
1.ゲゲゲの女房
NHKの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が新鮮だ。漫画家の水木しげるとそのご夫人が歩んでこられた半生を描いている。戦争で片腕を失い帰国した水木。紙芝居の絵描きから漫画家に転身、そして結婚。
東京の調布の一軒家に暮らす水木夫妻。そこで貧しいながらも漫画で生計を立てていく。
水木夫人が夫しげるの書きっぷりに惚れ込む。その真剣さに声がかけられない。
そんな描写が3Dの画面のように伝わる。
「墓場は一番カネのかからない遊び場だ」。ちょっと変わった漫画家だが、「俺はいい漫画を書きたい」。この一言に集約されている。この気持ちは、昭和30年代の少年漫画誌をリードした漫画家に共通している。
2.働きがいのない職場
水木しげるが、仕事に没頭する姿に夫人が涙する。そんな場面がある。
今、そんな絵を巷に見ることが出来るか?NO。「世界でいちばん会社が嫌いな日本人」を執筆した斎藤氏は働きがいの研究をしている。
著書の中でも語られているが、アメリカの調査会社の調査によると、日本人の会社への帰属意識、仕事への熱意は世界最低水準だと言う。人間関係が悪くギスギスした職場に、働きがいややる気は起こらない。
日本も、高度成長期には、人間関係が良好で、会社と個人の目標が一致していた。
世界にお手本になる位の発展を遂げてきた。しかし、今の日本に世界を感動させるものは乏しい。
3.上海万博の熱気
お隣の中国で上海万博が始まった。マスコミの報道は、中国人のマナーの悪さや、混雑ぶりを一方的に発進する。様々な分野で世界一になろうとする中国。その勢いは誰も止められない。
東大阪の某メーカー、SPA(製造小売業)のビジネスモデルで工場を持たない。
社長は生産委託する中国を始めとするアジア各国へ頻繁に訪れる。社長がぼやく「アジア出張から帰ると日本は何と元気がない」と。
活気に溢れる隣国アジア。夢や希望を若者が語る。そこに感動のドラマが生まれる。
1930年代、ヒトラー時代のドイツ。その若者達が無心に挑む「アイガー北壁」が映画になった。
山登りに何故命を賭けるのか。
感動は、政治や経済を意図しない純粋な意志から得られる。生きる意志、生き抜く力が水木しげるにはあった。
(Written by 川下行三 10/05/12)