会社の姿勢 No.1
1.非上場だから出来る
大手製造業の1社であるS社は、マスコミでも良く取り上げられる人気企業である。
創業家の方針で上場はしていない。経営理念も万人が知る明快な言葉で語られている。
最近、そこを退職した二人の管理職に話しを聞いた。共通しているのはS社での経験を最高の出会いと捉えている。「やりがいのある職場であり、育ててもらった」と。人材育成に大きな投資を行っている。
S社の柱となる事業は大正時代に産声を上げた。二代目社長が昭和30年代に創業者の意を受けて第二の事業を始めたが、トップ企業の寡占が続き40数年赤字に苦しんだ。
そして今年やっと黒字化を果たす。
2.人員削減の嵐
この世界不況で、輸出企業を中心にした上場企業の人員削減策が後を絶たない。中でも外資企業は、正社員の削減にまで手をつける。容赦の無いコスト削減だ。
日本企業の良さは、人材を財務などの短期視点で見ず、長期で投資を続ける。象徴であった年功序列、終身雇用は、もう大企業に見られない。
社名変更したP社が近年V字回復を果たすが、その前に早期退職優遇制度を利用した正社員は多い。しかし、同業他社と比べると優しい方なのか知れない。その制度を利用したOB社員の口からは批判めいた話しは聞かれない。
3.中小企業の姿勢
ある会合で激論を尽くした。中小企業の人事担当者とコンサルタント。
人材育成には時間がかかる。優秀な社員を外部からもってくるという発想は中小企業には無い。じっくりと育てていく。取り替えは効かない。
コンサルタントは、必要な人材を必要な時に採用すれば良い。能力が無くなれば退職勧告をする。まるで、トヨタ生産方式を採用や育成に転用するような考えである。
人が財産であると胸を張って言える経営者が何人いるのか。数百人の採用を行って1/3が辞めていく。取りすぎたとぼやいている大手企業の人事担当者。
中小企業は採用時、社長自らがプレゼンをやり面接をする。仕事が増えても減っても社員と共に歩む。その姿勢に共感を覚える。
(Written by 川下行三 08/12/19)