2008年を契機として No.2
1.日本は米国の景気が気がかり
日本の経済は今なお、輸出主導型である。高度成長期から何ら変わっていない。そして、その最大の相手国は米国である(中国は2位であるが2007-2008年で逆転するだろう)。
自動車は米国での現地生産が進んでいるが、日本からの輸出台数も依然年間200万台を維持している。米国がこけると日本も転ぶ。この構造は中国への輸出が増えても変わらない。
日本政府は何年も前から内需主導型へ産業構造の転換を叫びながら、国内の内需産業は脆弱なままで、自動車や情報家電、半導体は国外でその利益の大半を稼ぐ。
2.米国経済の行方
米国は今年最大のイベント、大統領選挙を控えている。予備選挙が各州で始まっているが、誰が大統領になるかは直前まで予測がつかない。政治に経済を押し上げる力は期待できない。
サブプライムローン問題によるシティバンクやメリルリンチなどのメガファイナンス企業の巨大損失が明るみに出るたびに、ニューヨークダウの株価が下がる。
デトロイトの自動車メーカーはリストラを進める。大手小売も芳しくない。元気な企業もあるが米国経済を押し上げるほどの影響力はない。スターバックスコーヒーの国内既存店舗は前年より売上げを落とした。
3.欧州の勢いは本当か
ユーロ高が続いている。欧州の経済が本当に強いのか。ユーロ圏の主要国であるドイツやフランスの経済指標を見ると強さは感じられない。
GDPの2007年度伸び率はドイツ2.5%。フランスは2006年の統計データを見ると2.2%とアジア諸国には及ばないが、一応堅調。しかし、日本でも2003年から2006年までの実質経済成長率は2%台をキープしている。
EU諸国は2008年、2%台の成長を見込んでいるが、ユーロ高によるインフレ懸念があり、物価高はユーロ圏内の庶民を直撃する。市民は言う。
ユーロ加盟前よりも暮らしは確実に苦しくなっている。
4,持続可能な社会、豊かな社会の実現に向けて
アジア諸国やBRICSの国々は引き続き力強い経済成長を続けるだろうが、先進諸国は足踏み状態だ。GDPによる経済成長率を国力とする指標から環境保全や生活の向上を目標とする指標に変えよう。
持続可能な社会はいつまで立っても実現しない。物の豊かさから心の豊かさへと声高に叫ばれてからもう何年経っただろう。
任天堂のDSやWiiが売れているが、何台売れたかではなく、どれだけの家族に会話が生まれ、大切な時間を共有することを可能にしたかを測る「ものさし」が必要だ。豊かさを測るものさしをぜひ目に見えるものにしたい。
(Written by 川下行三 08/01/18)