コーチングからファシリテーションへ No.1
1.ピラミッド社会の衰退
20世紀に工業化社会が始まり、トップを頂点とした組織が官民を問わず繁栄した。しかし、各自治体や特殊法人などの官僚組織の機能が麻痺しているのか、不祥事が後を絶たない。
民間では、大きな組織ほど乱高下を繰り返してる。何万人も雇用している企業で安泰としたところは無い。リストラと採用を繰り返している。終身雇用は陰を潜めた。
軍隊の組織が現代の経営管理や組織のモデルとなった。しかし、最強だと言われる米軍の軍隊も、アフガニスタンやイラクなどの地域戦では歯が立たなかった。
2.小規模の組織が機能している
流通業では、ダイエーが産業再生機構から丸紅に売られ、そして、イオンの支援へ。産業再生機構の青写真は、食品小売りに特化して行くとのシナリオであったが、地域の食品スーパーはいたって元気で、思ったように売り上げが伸ばせなかった。
ヤオハンはイオンの支援で見事に再生した。ヤオハンは静岡を中心とした地域に根ざしたスーパーだ。しかし、ダイエーは全国区で大規模な組織である。残念ながら地域一番点は数少ない。
東京都内を地盤とする食品スーパーに「オオゼキ」がある。どこにでもある町のスーパーだが、店の中は活気に溢れている。生鮮がいい。オオゼキに置いていない商品でも1点から取り寄せてくれる。
3.コーチングからファシリテーションへ
コーチングは多くの組織で採用されているので、詳細を説明しないが、少しずつ浸透している。傾聴ができる管理職やリーダーが増えてきた。しかし、コーチングは1対1の時が一番有効である。
チームへの働きかけや集団に対しては、別のスキルや行動が必要になる。それが、ファシリテーション(facilitation)だ。直訳すると促進する、円滑にする。促進役や推進役をファシリテーター(facilitator)と呼ぶ。
大きな組織は機敏に動けない。変化の激しい時代には適していない。市場や顧客に密着している小さな組織が良いが、その組織員の意識を一つにして、目的に向け行動を取らなければ、成果が上がらない。
ファシリテーションはメンバーに働きかけ、意見やニーズを吸い上げ、合意形成をはかるスキルで有り考え方だ。これからの組織には重要なキーワードになるだろう。
(Written by 川下行三 06/10/19)