世界経済と中国経済
1.目まぐるしく変わる世界経済
OECD(経済協力開発機構)が11月9日に発表した世界経済の見通しでは、新興経済と世界貿易の更なる急
減速により、今年の世界経済成長率は約2.9%に弱まる。日本についても0.1ポイント低い0.6%に下方修正。
そして、11月13日夜(現地時間)に起きたフランス・パリでの同時テロは、その惨劇にフランス市民のみ
ならずEUの国々に恐怖と復讐心を植え付けた。世界経済に与える影響は大きい。
7月のギリシャ危機から立ち直り、やっとユーロも持ち直し始めたこの時期に起こった今回の同時テロ、タイミングが悪い。中国経済の失速は、明らかになっているが、いつ何時バブルが崩壊してもおかしくない。
2.力強さに欠ける日本経済
国内経済に目を向けると、11月16日に内閣府が発表した2015年7~9月期のGDP速報値は実質で前期比0.2%減、年率換算で0.8%減。4~6月期に続くマイナス成長。
個人消費は前期比0.5%増に転じているが、企業の設備投資は芳しく無い。
マイナス幅が拡がっている。中国経済の減速が、ここにも波及している。
来年1月の国会で新年度予算について審議されるが、アベノミクスの三本目の矢は失速したままだ。日本にとっての成長戦略を、経済産業省や財務省の官僚が描くことは出来ない。自民党の経済政策は無策に近い。
3.中国経済、表向きは良好
中国での自由が保障されている香港。治外法権と呼んでもいいが、その香港にも制約を付けようとした北京
政府。昨年は混乱したが、落ち着いているように見える。
香港のビジネス街の中心にある中環(セントラル)。そこにそびえる高層タワー2階・3階にアップルショップが店を構えている。平日の夕刻、店内に人が溢れている。
iPhone、iPad、iWatchが陳列されているテーブルを買い物客が囲み、通路が通れない。何かイベントが催されているのかと見つめてしまうが、香港人、中国人は平然と買い物を続けている。
10月末、アップルが発表した7~9月期の決算、前年同期に比べ売上高が22%増。そして、中国地域は99%増という数字。庶民は買い続ける。
(Written by 川下行三 15/11/17)