ほんまもんの経営 No.3
1.不祥事が続くグローバル企業
日本を代表する企業が相次いで失速した。「ほんまもんの経営」で取り上げた東芝やホンダ。売上げ拡大を目標に掲げて迷走をした代表例だ。そして、それが海外に飛び火した。
グローバル企業の筆頭格、フォルクスワーゲン。今年の半期、トヨタを抜いて世界一の販売台数を記録したのもつかの間。米国の環境省が見つけた不正事件。何年も前から行われていた。
日本の自動車メーカーが販売でしのぎを削る米国にフォルクスワーゲンは、くさびを打った。世界一の販売台数をたたき出す原動力になると意気込んだ組織ぐるみの愚行。
2.社会の目を取り込め
排ガス規制の厳しい米国で、ごまかしを続けた企業体質を醸成したのは中国企業ではなくドイツの中核を成す企業なのが大きな驚きだ。技術者の多くは知り得ていた事実ではないかと思う。
内部告発ではなく、外部からの指摘で明らかになったのは、フォルクスワーゲンの立ち直りに影を落とす。
自浄作用が適切に働かない組織の病原は深い。
オーナー一族が会社を仕切る。当たり前のことだが、そこに外部の視点を入れないと井の中の蛙になる。世界的な大企業も中小企業も根っこは同じ。社会の目や社内の目を取り込むべきだ。
3.社内の批判は進んで受けろ
委員会設置や外部取締役の導入など制度を取り入れていた東芝も然り。
魂が入っていない仕組みや制度では機能しない。コーポレートガバナンス(企業統治)と叫んでも見ても効果無し。
国税出身の某税理士と懇談した。その税理士は、「内部告発やたれ込みなどの組織内からの情報は、重要な
シグナルに成る」。即ち、社員間のコミュニケーションが取れていない企業が税務調査の候補企業に上がる。
立派な経営理念を持ち、社会貢献を果たしている企業でも過ちを冒す。10数年前、某経済研究所長は、社会と同じ年代構成の社員を採用する。若者、中堅、高齢者、男女、外国人他。様々な年代の目が社内にいる。
理念浸透は重要な経営活動だが行きすぎは禁物。金太郎飴社員は無用だ。
(Written by 川下行三 15/10/05)